「虎御前の供養塔」は、佐賀関街道(関往還)に面した、通称虎御前峠にあった。
付近に湧き水が見られ、通行人が休息するのに都合の良い場所であったという。
『佐賀関町史』には、五輪塔があると記載されているが、現在は見当たらない。
おそらく、その五輪塔を虎御前の供養塔と称していたと考えられる。
虎御前峠に現存する石造物には、一字一石塔(いちじいっせきとう)3基と、地蔵経塚がある。
休息所と共に聖地であった。
一字一石塔のうち、元禄2年(1689)のものは、この種の石塔としては非常に大きなものである。元禄期に入る頃には、既にこの地を通っていたことを証明するものである。
なお、明和8年(1771)年の石字塔には、「為往還衆人自書妙経」とあり、通行人のために写経して塔を建立したことが明らかにされている。
*一字一石塔*
法華経の経典の字を一石に一字づつ写し塔の下に埋めたもの。
佐賀関街道の一字一石塔や地蔵塚には、石に付着した古銭のような色から、
当時の街道を往来する人々が道中の安全を祈り、賽銭を置いた跡と考えられる。
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